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心理学の専門用語に「投影」という言葉があります。
自分にとって受け入れ難い心の傾向が抑圧された場合、それが心の「影」となって無意識の中に潜みます。
そして自分以外の人が、その受け入れ難い心の傾向を持っていることを発見したとき、その人に対して強い拒否感が起きることがあります。大きく心乱されるのです。
自分の心の「影」の部分を、自分の中に自覚せず、相手の心の中に存在するものとして、いわば相手に「投げ」入れた状態として感じること、と言ってよいかもしれません。
一例として、あるとき自分が我の張った心の狭い人間だと痛感し、「このままではいけない!なんとか寛容な心を持った人間になろう。」と決心して、努力していったとします。
そんな時、自分の周りに心の狭量な人が現れたりすると、「こんな大人気ない人が世の中にいるなんて信じられない!」といったような反発を感じます。
そして、その人物と接するときや、その人物を思い出したりするだけでも、嫌な感情に支配され心穏やかでない心理状態になることがあります。
このことは、かつて自分の狭量さを過度に是正しようとした為、その心の傾向が無意識の中へ抑圧され、自分では意識できない「影」となっているために起こった現象です。
自分の無意識の中に存在する「影」が相手を通して思い起こされ、心が刺激されて自身の感情が揺さぶられているのです。
無意識の中に封じ込められた「影」の情動は、意識に対して大きなエネルギーを持って迫ってくる性質がありますので。
箱庭療法の作品解釈の元になっている「ユング心理学」では、人間の無意識の中に、人類の全ての経験や心の傾向が備わっていると考えています。
ひとりの人の心全体の中には、聖母マリアや仏様のような慈愛的な心も存在すると同時に、あらゆる卑俗的な感情や欲望も存在しています。
上の例の場合、自分の中にある狭量な心の傾向を、☆人間なら誰にでもあるものだとして、自身に対し、少し自分を許す試みをしてあげましょう☆
そして、自分の心の傾向はあるままに、行動は寛容な態度を心がけていくのです。
それに伴って自然に感情も洗練されて行くようになるでしょう。
もし、苦手で嫌いな人が目の前に出現して、あまりにも自分の感情が翻弄されてしまうような時、その相手の心の傾向は、自分の心の奥底にも本来備わっているのではないだろうかと、しばし立ち止まって振り返ってみられては如何でしょうか。
そのことが、人間の意識・無意識を含めた心全体に思いを馳せ、自分の心の色々な傾向を受け入れられるようになっていくキッカケになれば、と思います。
人は生まれてからこのかた、幾つもの「許していない自分」を積み重ねて来ている、と言ってもいいかもしれませんね・・。
今回は、影の投影という考え方を足場に、相手に対して抱く好き嫌いの感情を手がかりにして、先ず善悪、美醜、聖俗すべてを含んだ心の全体性を味わった上で、自分自身を許していく、自分の存在を少しずつでも受け入れ好きになって行く、ひとつの道を提案させて頂きました。